最終活動日データでわかる！サポーターの「今の状態」と関係性を維持するヒント
非営利団体にとって、サポーターの皆様は活動を支えるかけがえのない存在です。日々の活動の中で、サポーターデータと向き合う際、「この方は最近あまり活動に関わっていないようだけれど、どうしたら良いのだろうか？」と悩むことがあるかもしれません。特に、過去には活発に応援してくださっていた方が、いつの間にか連絡が途絶えがちになっている、といった状況は、団体としてぜひ避けたいものです。
このような時、お手元にあるサポーターの「最終活動日」のデータを活用することが、関係性を維持し、深めるための重要なヒントを与えてくれます。
最終活動日データとは何か、なぜ重要なのか
最終活動日データとは、文字通り、個々のサポーターが最後に何らかの形で団体の活動に関わった日付のことです。ここでの「活動」は、単に寄付だけでなく、イベントへの参加、ボランティア活動、メールマガジンの開封・クリック、ウェブサイトへのログイン、特定のキャンペーンへの反応など、データとして把握できるあらゆる関わりを含みます。
このデータが重要である理由は、サポーターの「今の状態」や「関心の温度感」を推測する手立てとなるからです。
- 最近活動があったサポーター: 現在も団体に関心が高く、積極的な応援を続けている可能性が高いと考えられます。
- しばらく活動がないサポーター: 関心が薄れてきている、他のことに忙しい、団体からの情報がうまく届いていない、活動内容が合わなくなったなど、様々な要因が考えられます。関係性の維持に向けて、何らかの働きかけが必要かもしれません。
最終活動日を把握し、その経過日数を分析することで、漠然とした「最近見かけないな」という感覚を、具体的なデータに基づいた理解に変えることができます。これにより、一人ひとりのサポーターの状態に合わせた、より丁寧で効果的なコミュニケーション戦略を立てることが可能になります。
お手元のデータから最終活動日を特定するステップ
多くの場合、サポーターの活動履歴は様々なデータとしてお手元にあるはずです。例えば、寄付システム、イベント管理ツール、ボランティア名簿、メール配信システムのログ、ウェブサイトのアクセス履歴などです。これらのデータから、各サポーターの最終活動日を特定するには、以下のステップが考えられます。
- データソースの洗い出し: 団体が保有するサポーターの活動に関するデータをリストアップします。
- 活動日の特定: 各データソースから、サポーターごとの活動が発生した日付を特定します。例えば、寄付日、イベント参加日、メールクリック日などです。
- 最終活動日の集計: サポーターごとに、特定した全ての日付の中で最も新しい日付（最新日）を「最終活動日」として集計します。Excelなど表計算ソフトを使う場合は、サポーターIDなどをキーにして、複数のシートから日付データを集め、それぞれのサポーターの最新日を関数などで求める方法があります。
- 例（Excelイメージ）: | サポーターID | 最終寄付日 | 最終イベント参加日 | 最終メールクリック日 | 最終活動日 | | :----------- | :--------- | :----------------- | :----------------- | :--------- | | 001 | 2023/10/01 | 2024/01/15 | 2024/02/20 | 2024/02/20 | | 002 | 2024/03/10 | (データなし) | 2024/03/15 | 2024/03/15 | | 003 | 2023/05/20 | 2023/06/01 | 2023/07/10 | 2023/07/10 |
この作業により、各サポーターの「最終活動日」が一覧になったデータが作成できます。
最終活動日からの経過日数でサポーターをグループ分けする
最終活動日が特定できたら、次に「今日」からその最終活動日までの経過日数を計算します。この経過日数をもとに、サポーターをいくつかのグループに分けてみましょう。分け方に決まった正解はありませんが、団体の活動サイクルやサポーターとの一般的な関わり方を考慮して設定します。
- グループ分けの例:
- Aグループ：最終活動日から3ヶ月以内
- Bグループ：最終活動日から3ヶ月超～6ヶ月以内
- Cグループ：最終活動日から6ヶ月超～1年以内
- Dグループ：最終活動日から1年超
これらのグループに、それぞれのサポーターがどれくらい含まれるのかを確認します。特定のグループに多くのサポーターがいる場合、その状態のサポーターに対して組織的にアプローチを検討する必要があるかもしれません。
さらに、可能であれば、各グループに属するサポーターが「どのような活動」を最後にしているのか（例：最後に寄付をした人、最後にイベントに参加した人など）や、他のデータ（属性、これまでの累積寄付額、継続期間など）と組み合わせて分析すると、より深い洞察が得られます。
分析結果に基づく具体的なコミュニケーションアクション
グループ分けと簡単な分析ができたら、いよいよ各グループに向けた具体的なコミュニケーション戦略を考えます。経過日数によって、サポーターの関心度や状態が異なると推測されるため、メッセージの内容や伝え方も変えることが効果的です。
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Aグループ（最終活動日3ヶ月以内）へのアクション:
- 現在も関心が高い層です。最新の活動報告、進行中のプロジェクトの詳細、参加型のイベント情報などを積極的に提供し、さらにエンゲージメントを高める機会を設けます。
- 特定の活動（例：イベント参加）を最後にしている場合は、その後の感想を尋ねたり、関連する次のステップ（例：ボランティア募集など）を案内したりするのも良いでしょう。
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Bグループ（最終活動日3ヶ月超～6ヶ月以内）へのアクション:
- 少し間が空いてきた層です。団体の近況を改めて伝え、変わらず応援してくださっていることへの感謝を伝えます。
- 最近の団体の成果や、サポーターの応援がどのように活かされているのかを具体的に共有し、改めて関心を持ってもらうきっかけを作ります。負担にならない範囲での簡単なアンケートをお願いするのも良いかもしれません。
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Cグループ（最終活動日6ヶ月超～1年以内）へのアクション:
- 関心が薄れてきている可能性のある層です。直接的な参加や寄付のお願いよりも、まず「つながり」を再構築することを目指します。
- 特別なご挨拶（例：「ご無沙汰しておりますが、お変わりありませんでしょうか？」といった入り）とともに、団体の変わらぬ活動への想いや、なぜ皆様の応援が必要なのかを丁寧に伝えます。サポーターの皆様からの声が団体にとってどれほど重要であるかを伝えるメッセージも有効です。過去の活動への感謝を改めて伝えることも忘れずに行います。
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Dグループ（最終活動日1年超）へのアクション:
- 休眠状態に近い層です。無理に活動参加や寄付を促すのではなく、まずは団体の存在を思い出してもらい、再び関心を持つきっかけを提供することに重点を置きます。
- 「〇〇様が以前応援してくださった△△（具体的な活動名）は、今こうなっています」といった形で、過去の関わりを想起させるメッセージを送るのも良いでしょう。団体の根幹にあるミッションやビジョンを改めて共有し、「こんな活動を続けています」と、一方的にならない形で情報を提供します。関心があればいつでもご連絡ください、というスタンスで、再び関係性を築くための「扉」を開けておくことが大切です。
実践にあたってのヒント
- 小さく始める: まずは一つの活動データ（例：寄付履歴のみ、イベント参加履歴のみ）から最終活動日を算出し、分析してみるのも良いでしょう。
- 完璧を目指さない: 全てのサポーターの全ての活動データを網羅するのが難しい場合でも、可能な範囲のデータで分析を試みることが重要です。何もやらないより、まずは一歩踏み出すことが大切です。
- 効果測定: 各グループへのアクションを実施した後、そのサポーターが再び活動したか（例：メールを開封した、イベントに申し込んだ、寄付をしたなど）をデータで追跡し、施策の効果を測定します。
- 継続的な実施: サポーターの状態は常に変化します。この分析とアクションのサイクルを定期的に繰り返すことで、関係性の維持・強化に継続的に取り組むことができます。
まとめ
サポーターの最終活動日データは、お手元にある身近なデータでありながら、一人ひとりのサポーターの「今の状態」を理解し、よりパーソナルな関係性を築くための強力なヒントを与えてくれます。
このデータ分析を通じて、最近活動が見られないサポーターの方々に対して、画一的ではない、その方に寄り添った声かけができるようになります。それは、単に活動への再参加を促すだけでなく、「あなたの応援を覚えています」「私たちは活動を続けています」「あなたの関心が団体を支えています」という、大切なメッセージを伝える機会となります。
ぜひ、お手元のサポーターデータの中から「最終活動日」に着目し、分析と具体的なアクションにつなげてみてください。きっと、これまで見えなかったサポーターコミュニティの姿が見えてくるはずです。そして、それはサポーターの皆様との関係性をより強く、より長く続けていくための、新たな一歩となるでしょう。