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サポーターの「問い」にデータで耳を傾ける:問い合わせ記録分析で関係性と活動を深めるヒント

Tags: 問い合わせデータ, データ分析, サポーター, コミュニティ活性化, NPO運営

非営利団体にとって、サポーターからの問い合わせは日常的な業務の一部です。多くの場合、これらの問い合わせには一つひとつ丁寧に対応されていることと思います。しかし、その記録を単なる「対応履歴」として終わらせてしまうのは、少しもったいないかもしれません。

実は、サポーターからの問い合わせデータには、コミュニティの活性化や活動の改善に繋がる多くのヒントが隠されています。「サポーターが何に興味を持ち、何に疑問を感じ、どのようなことで困っているのか」を知るための、貴重な「声」のデータ源と言えるでしょう。

この記事では、サポーターからの問い合わせ記録をどのようにデータとして捉え、分析し、そして具体的な関係性深化や活動改善に繋げるかについて、実践的なステップをご紹介します。手元にあるデータと一般的なツール(例えばExcelなど)でできることから始めてみましょう。

問い合わせデータから見えてくるサポーターの「声」

サポーターからの問い合わせは、様々な形で寄せられます。例えば、

これらの個別の「問い」の背景には、サポーターの「知りたい」「確認したい」「困っている」といった具体的なニーズが存在します。これらの「声」をデータとして集計・分析することで、以下のようなことが見えてきます。

これらのインサイトは、一見バラバラに見える問い合わせ記録を、コミュニティ全体の関係性強化や活動改善のための羅針盤に変える可能性を秘めています。

問い合わせデータ分析の具体的なステップ

では、実際に手元にある問い合わせデータを分析するにはどうすれば良いでしょうか。ここでは、高度なツールを使わずとも実践できる基本的なステップをご紹介します。

ステップ1:データの収集と整理

まずは、現在どのように問い合わせを記録しているかを確認しましょう。CRMシステム、Excelシート、メールフォルダ、手書きのメモなど、様々な形で記録されているかもしれません。可能な範囲で、以下の情報を収集・整理します。

これらの情報を一覧できる形式(例えばExcelのリスト形式)にまとめます。過去一定期間(例えば過去半年や1年)のデータを集めると、傾向が見やすくなります。

ステップ2:問い合わせ内容の分類

これが分析において非常に重要なステップです。集めた問い合わせ内容を、あらかじめ定めたカテゴリに分類します。例えば、以下のようなカテゴリ設定が考えられます。

最初はカテゴリ分けに悩むかもしれませんが、まずは大まかに分類し、分析を進める中で必要に応じてカテゴリを見直すと良いでしょう。Excelであれば、新しい列にカテゴリ名を入力していく形で分類できます。

ステップ3:簡単な集計と可視化

カテゴリ分けができたら、次は簡単な集計を行います。

これらの基本的な集計だけでも、サポーターが何に困っているかの大まかな傾向を掴むことができます。

ステップ4:サポーター属性や行動データとの組み合わせ(可能であれば)

より深く分析するために、問い合わせをしたサポーターの他のデータ(例えば、寄付履歴、継続年数、過去のイベント参加履歴、居住地域など)と組み合わせてみましょう。

このステップは少し複雑になるかもしれませんが、手元にあるサポーターリストと問い合わせデータを照合することで、Excelでも基本的な分析は可能です。

分析結果からアクションへ繋げる

問い合わせデータの分析によって得られたインサイトは、具体的なアクションに繋げることが重要です。以下にいくつか例を挙げます。

実践のポイント

問い合わせデータ分析を始めるにあたって、完璧を目指す必要はありません。まずは、以下の点を意識して、できることから始めてみましょう。

まとめ

サポーターからの問い合わせ記録は、単なる対応履歴ではなく、サポーターの関心やニーズ、そして団体に対する期待が詰まった貴重なデータです。これらの「声」にデータ分析を通じて耳を傾けることで、サポーターとの関係性をより深く理解し、効果的なコミュニケーションや活動改善に繋げることができます。

この記事でご紹介した分析ステップや活用方法は、特別なツールや高度なスキルがなくても実践できる基本的なアプローチです。まずは手元にある問い合わせデータに目を向け、小さな一歩から分析を始めてみてはいかがでしょうか。サポーターの「問い」の中に、コミュニティ活性化のための大切なヒントがきっと見つかるはずです。