サポーター活性化ラボ

サポーターの声なき声、活動アイデア:データ分析で「共創」をカタチにする方法

Tags: サポーター, データ分析, 共創, フィードバック, アイデア活用

「サポーター活性化ラボ」をご覧いただき、ありがとうございます。

非営利活動を進める中で、サポーターの方々から活動へのご意見や、時には具体的な新しいアイデアをいただくことがあるかと思います。こうした「声」は、団体にとって非常に貴重な財産です。しかし、集まった声やアイデアをどう整理し、どう分析し、どのように実際の活動に反映させれば良いのか、悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

データ分析は、こうしたサポーターからの声やアイデアを単なる個別の意見として終わらせず、団体全体の活動をより良くし、サポーターとの関係性を深めるための「共創」の機会に変える powerful な手段となります。今回は、サポーターから寄せられる多様なアイデアやフィードバックをデータとして捉え、分析し、具体的なアクションに繋げる方法について考えていきましょう。

なぜサポーターのアイデアをデータとして捉える必要があるのか?

サポーターからのアイデアやフィードバックは、様々なチャネルを通じて集まります。アンケートの自由記述欄、メールでの問い合わせ、イベントでの直接の会話、SNSでのコメントなど、その形式は多岐にわたります。これらの声を個別に処理するだけでは、以下のような課題が生じがちです。

これらの課題を解決し、サポーターからの声を活動の推進力に変えるためには、これらの多様な情報を「データ」として体系的に収集・整理し、分析することが有効です。データとして扱うことで、客観的に傾向を把握し、優先順位をつけ、より効果的な形で活動に反映させることが可能になります。

サポーターのアイデア・フィードバックを「データ化」する

まずは、サポーターからのアイデアやフィードバックがどこから、どのような形式で集まるかを洗い出してみましょう。

これらの情報を、分析しやすい形に「データ化」します。例えば、Excelやスプレッドシートを使用して、以下のような項目で整理してみましょう。

| 受付日時 | チャネル(例:アンケート、メール、イベント) | 提案者(匿名可) | サポーター区分(例:寄付者、ボランティア、SNSフォロワー) | アイデア・フィードバック内容(原文) | 要約・キーワード | 関連プロジェクト/テーマ | 重要度(主観評価) | 実現可能性(主観評価) | | :------- | :----------------------------------------- | :--------------- | :------------------------------------------- | :------------------------------- | :--------------- | :--------------------- | :--------------- | :--------------- | | 2023/10/01 | アンケート(寄付者向け) | Aさん | 継続寄付者(3年以上) | 「●●の地域の活動をもっと知りたい。報告会などあると嬉しい」 | 地域活動、報告会、情報提供 | ●●地域プロジェクト | 高 | 中 | | 2023/10/05 | メール | Bさん | 一時寄付者 | 「子ども向けのイベントをもっと増やしてはどうか。自然体験など。」 | 子ども向け、イベント、自然体験 | 教育プログラム | 中 | 中 | | 2023/10/10 | イベント(交流会) | Cさん | ボランティア(活動歴1年) | (付箋)「イベントの準備に人手が足りないと感じた。ボランティア募集方法を工夫できないか?」 | ボランティア募集、イベント準備 | ボランティア連携 | 高 | 高 |

このように一覧化することで、個別の意見が「データの集合体」として捉えやすくなります。内容の要約やキーワード付与は、後の分析のために重要なステップです。最初は難しく感じるかもしれませんが、関連性のありそうな単語や短いフレーズを抜き出すことから始めてみましょう。

簡単なデータ分析で傾向を掴む

データ化されたサポーターの声を、手元のツール(Excelなど)を使って簡単に分析してみましょう。高度な統計知識は必要ありません。

  1. キーワードやテーマの頻度集計: データ整理の際に付与した「要約・キーワード」や「関連プロジェクト/テーマ」ごとに、出現頻度を集計します。
    • 例:「子ども向け」に関する提案が〇件、「ボランティア募集」に関する提案が△件、といった具体的な数を把握できます。
    • Excelのピボットテーブル機能などが役立ちます。
    • これにより、多くのサポーターが関心を持っている、あるいは改善を求めている領域が明らかになります。
  2. サポーター区分との関連性: どのようなサポーター区分(寄付者、ボランティア、イベント参加者など)から、どのようなアイデアやフィードバックが多く寄せられているかを集計します。
    • 例:継続寄付者からは活動報告に関する要望が多い、ボランティアからは運営に関する提案が多い、など。
    • サポーターの関わり方によって、期待する情報や貢献の仕方が異なることが見えてきます。
  3. 時系列での変化: いつ頃、どのようなアイデアやフィードバックが増えたかを時系列で見てみます。
    • 特定のキャンペーンやイベント実施後に、関連する意見が増える傾向があるかもしれません。
    • これにより、団体の発信や活動がサポーターの関心や意見にどう影響を与えているかを推測できます。

これらの簡単な集計だけでも、単に個別の意見を聞いているだけでは気づけなかった全体的な傾向や、サポーター層ごとの関心の違いが見えてくるはずです。

分析結果を解釈し、アクションに繋げる

分析によって傾向が掴めたら、次はそれをどう解釈し、具体的なアクションに繋げるかを考えます。

具体的なアクション例:

重要なのは、全てのアイデアを実現することは難しいとしても、真摯に受け止め、検討したプロセスや結果をサポーターに伝えることです。これにより、サポーターは「自分の声が届いている」「団体と一緒に活動を創っている」という実感を持つことができ、エンゲージメントがさらに深まります。

まとめ:データ分析が拓くサポーターとの「共創」

サポーターから寄せられるアイデアやフィードバックをデータとして扱い、体系的に分析することは、単に活動のヒントを得るだけでなく、サポーターとの新しい「共創」関係を築くための重要なステップです。

サポーターのアイデアは、団体の活動を内側からだけでなく、サポーターという外部の視点からより良くしていくための貴重な視点を提供してくれます。データ分析をとおしてこれらの声に耳を傾け、共に活動を創り上げていくプロセスは、サポーターのエンゲージメントを高め、より強く、持続可能なコミュニティを育むことに繋がるでしょう。

お手元にあるサポーターからの声やフィードバック。ぜひ、データとして整理し、宝の山から新たな価値を見つけ出してみてください。