サポーター活性化ラボ

サポーターの「得意」や「やりたい」をデータで知る:隠れた貢献意欲を引き出す分析と実践

Tags: データ分析, サポーター活性化, 貢献意向, ボランティア, コミュニティマネジメント

非営利団体の活動を支えてくださるサポーターの皆様は、寄付だけでなく、様々なスキルや経験、そして「こんな形で貢献したい」という意欲を持っていらっしゃるはずです。しかし、そうしたサポーター一人ひとりの「得意」や「やりたい」を十分に把握し、団体の活動に活かせているでしょうか。

多くの団体では、サポーターの皆様の寄付履歴やイベント参加履歴、ボランティア活動履歴といった行動に関するデータは蓄積されていても、「デザインができる」「イベント運営に興味がある」「自分の専門知識を共有したい」といった、内面的なスキルや貢献への意向に関するデータは十分に整理・活用されていないかもしれません。

こうした「隠れた貢献意欲」をデータとして捉え、サポーターの皆様が最も輝ける形で活動に関わっていただくことは、コミュニティ全体の活性化に繋がります。本記事では、サポーターのスキルや貢献意向に関するデータをどのように収集・分析し、具体的なアクションに繋げていくかについて、実践的なステップをご紹介します。

なぜサポーターの「得意」や「やりたい」を知ることが重要なのか

サポーターの皆様が持っている多様なスキルや貢献への意向を把握し、それを活動に活かすことには、いくつかの重要なメリットがあります。

サポーターの「得意」や「やりたい」をデータとして捉える方法

では、具体的にどのようにサポーターのスキルや貢献意向に関するデータを収集すれば良いのでしょうか。手元にあるデータや、比較的簡単に実施できる方法から始められます。

  1. 既存データの確認・整理:

    • アンケート回答: 過去に実施したアンケートに、職業やスキル、活動への関心事、希望する貢献方法に関する質問はありましたか? もしあれば、その回答をリストアップし、Excelなどで整理します。「プロボノに関心あり」「広報が得意」「イベント設営の手伝い希望」といった形で、回答をカテゴリ分けしてみましょう。
    • ボランティア登録情報: ボランティア登録フォームに、スキルや関心分野を記入する項目はありますか? その情報を改めて確認し、集計・整理します。
    • 個別ヒアリングや会話の記録: イベント会場での会話や個別のやり取りの中で、「こんなことできますよ」「〇〇に興味があります」といった情報があった場合、可能であれば記録に残しておき、後で集計・整理できるようにします。
  2. 新たなデータ収集の仕組みづくり:

    • サポーター向けアンケートの実施: スキルや経験、貢献意向に特化した簡単なアンケートを実施します。
      • 例:「あなたの職業やこれまでの経験で、団体の活動に活かせそうなものはありますか?(例:デザイン、広報、IT、教育、福祉など)」
      • 例:「今後、どのような活動に関わってみたいですか?(複数選択可、自由記述可)(例:イベント運営、広報物作成、専門知識を活かしたアドバイス、ボランティア、ファンドレイジングなど)」
      • 回答は、後で集計しやすいように、選択式と自由記述式を組み合わせると良いでしょう。
    • 登録フォームの改善: 新規サポーター登録時やボランティア登録時に、スキルや貢献意向を尋ねる項目を追加します。
    • 個別コミュニケーションの強化: ニュースレターの返信フォームや問い合わせ窓口などで、「活動にご協力いただけるスキルやアイデアがあればぜひお聞かせください」といったメッセージを添えることも有効です。

集めたデータを分析し、貢献意向を読み解く

収集したデータは、以下のような視点で分析してみましょう。高度なツールは必要ありません。Excelの基本的な集計機能やフィルタリング機能で十分に対応可能です。

分析結果を具体的なアクションに繋げる実践ステップ

分析によってサポーターの「得意」や「やりたい」が見えてきたら、いよいよ具体的なコミュニティ活性化アクションに移ります。

  1. 意向に合わせた情報提供:

    • 特定の活動(例:広報ボランティア募集)に関する情報を、その活動に関心があると表明しているサポーターグループに優先的に配信します。
    • ニュースレターなどで、様々な貢献の形(例:写真撮影が得意な方向けの活動報告会写真撮影ボランティア募集)を紹介し、関心を持つきっかけを提供します。
  2. スキルや意向を活かせる機会の創出:

    • 分析で見つかった「眠っているスキル」(例:プログラミングスキルを持つサポーターが意外と多い)を活かせる新たなボランティア活動やプロジェクトを企画します。
    • 特定のスキルが必要な業務(例:ウェブサイトの小さな修正)について、謝礼の発生しないプロボノ協力を呼びかける際、該当スキルを持つサポーターリストを参考に声をかけます。
  3. 個別のアプローチ:

    • 特定のプロジェクトに必要なスキルや意向を持つサポーターに対し、個別に連絡を取り、「ぜひ〇〇さんのお力を貸していただけませんか?」と具体的に協力を依頼します。これにより、「自分にしかできない貢献」という特別感や、団体からの信頼を感じていただけます。
    • 過去に特定の活動で貢献してくれたサポーターに対し、関連する新たな機会が生まれた際に優先的に情報提供や声かけを行います。
  4. 貢献意向の継続的な把握と更新:

    • 一度きりのアンケートで終わらせず、サポーターとの定期的なコミュニケーションの中で、「今どんなことに興味がありますか?」「最近新しく始めたことや得意になったことはありますか?」といった問いかけを続け、データを常に最新の状態に保つよう努めます。
    • 活動に参加してくれたサポーターには、その活動の感想とともに、他に興味のある分野や貢献したいことがないか尋ねることも有効です。

まとめ

サポーターの皆様が持っている「得意」なことや「やりたい」という貢献意向は、非営利団体にとってかけがえのない財産です。これらの隠れた力をデータとしてしっかりと捉え、分析し、具体的なアクションに繋げていくことは、コミュニティ全体のエンゲージメントを高め、活動をさらに力強いものにするための重要なステップとなります。

手元にあるデータから始め、少しずつでもサポーターの皆様の内面的な意向を把握する仕組みを作り、分析結果をコミュニケーションや機会創出に活かしてみてください。きっと、これまで気づかなかったサポーターの皆様の新たな一面や、活動連携の可能性が見えてくるはずです。サポーターの「やりたい」と団体の「助けてほしい」がデータを通じて繋がり、より良いコミュニティが育まれることを願っています。