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過去の活動・キャンペーンをデータで検証:成果と次へのヒントを見つける方法

Tags: データ分析, キャンペーン, 成果測定, ファンドレイジング, NPO

非営利団体の活動において、新しいキャンペーンやイベントを企画することは重要です。しかし、それらの取り組みが実際にどのような成果をもたらしたのかを十分に振り返る時間は、日々の業務に追われ確保しづらいかもしれません。手元にデータはあるものの、「これをどう使えば次の活動に役立てられるのだろうか」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

過去の活動やキャンペーンのデータを分析することは、単なる過去の評価にとどまらず、将来の活動をより効果的にするための貴重なヒントを与えてくれます。どのような活動がサポーターの皆様に響き、どのような行動に繋がったのかをデータに基づいて理解することで、限られたリソースを最も効果的な方法で活用できるようになります。

この記事では、過去の活動やキャンペーンのデータをどのように分析し、その結果をどのように次の企画や改善に繋げていくかについて、具体的なステップでご紹介します。

なぜ過去の活動データを分析する必要があるのか

キャンペーンやイベントを実施した後、「参加者は増えた」「寄付が集まった」といった短期的な結果は把握できます。しかし、その活動が長期的にどのような影響を与えたのか、例えば、

といった、より深い影響を理解することは、今後の戦略立案において非常に重要です。データ分析は、これらの問いに客観的な根拠をもって答えるための方法です。成功要因を特定し、それを再現したり、うまくいかなかった点から学びを得て改善に繋げたりすることで、将来の活動の質を高めることができます。

分析に使えるデータとは

過去の活動・キャンペーンの効果検証には、主に以下のようなデータが活用できます。

これらのデータは、スプレッドシート(Excelなど)で管理されていることが多いでしょう。まずは、検証したい活動に関連するデータを集め、一つに整理することから始めます。

効果検証のための具体的なステップ

過去の活動データを分析し、次へ繋げるための具体的なステップをご紹介します。ここでは、特定の「オンラインイベント」の効果を検証する例を考えながら進めてみましょう。

ステップ1:検証したい「目標」を明確にする

まず、その活動やキャンペーンが本来目指していたこと、あるいは今検証したいことを明確に定義します。

目標が定まると、必要なデータや分析方法がおのずと見えてきます。

ステップ2:関連データの収集と整理

設定した目標に基づき、必要なデータを集めます。オンラインイベントの例であれば、

などを集めます。これらのデータを参加者をキー(例えばメールアドレス)として紐付け、一つのリストにまとめます。ExcelのVLOOKUP関数などが役立つでしょう。

ステップ3:分析手法の検討と実行

整理したデータを使って、目標達成度を測る分析を実行します。

オンラインイベント参加者のその後の寄付率を知りたい場合であれば、「イベント参加者リスト」と「イベント後半年間の寄付データ」を紐付けたリストで、参加者のうち何人が寄付を行ったかを集計します。

例えば、イベント参加者100人のうち10人が半年以内に寄付をしていた場合、その後の寄付率は10%となります。可能であれば、同時期のイベント非参加者の寄付率と比較することで、イベント自体に寄付を促す効果があったかをより正確に評価できます。

ステップ4:分析結果の解釈

出てきた数値をただ見るだけでなく、「この数字が何を意味するのか」を考えます。

数字の背景にある要因を推測し、成功や課題の仮説を立てます。この解釈の段階で、関係者の意見交換なども行うと、より深い理解が得られます。

ステップ5:分析結果に基づいたアクションの検討

分析結果から得られた示唆を、具体的な次のアクションに繋げます。

このように、データ分析は「やりっぱなし」を防ぎ、次の活動の「打ち手」を考えるための重要なプロセスです。

まとめ

過去の活動やキャンペーンのデータを分析することは、組織の活動成果を客観的に把握し、将来の戦略を練る上で不可欠です。手元にある参加者リストや寄付データ、Webサイトのアクセス履歴などを活用することで、特別なツールを使わなくても実践的な分析を行うことができます。

今回ご紹介したステップ(目標設定、データ収集・整理、分析、解釈、アクション検討)を参考に、まずは小さくても良いので、一つの活動データから分析を始めてみてはいかがでしょうか。データから得られる気付きは、きっと皆様のサポーター活性化の取り組みを次のレベルへと引き上げる手助けとなるはずです。

サポーター活性化ラボでは、これからもデータ活用に関する実践的な情報をお届けしてまいります。