サポーター活性化ラボ

ニュースレター開封・クリック率から読み解く:サポーターの関心を引き出すデータ分析と改善策

Tags: ニュースレター, データ分析, コミュニケーション, 関係性強化, 効果測定

はじめに

多くの非営利団体では、サポーターとの関係性を維持・強化するために、ニュースレターや活動報告メールといった定期的な情報発信を行っています。しかし、「せっかく情報を発信しても、本当に読まれているのだろうか?」「どんな内容にサポーターは関心を持っているのだろうか?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

ニュースレターの配信効果を測る上で、開封率やクリック率は重要なデータ指標となります。これらのデータを分析することで、サポーターがどんな情報に関心があるのか、どのような表現や件名が響くのかといったヒントを得ることができます。そして、その分析結果をその後の情報発信に活かすことで、サポーターとの関係性をより深く、よりエンゲージメントの高いものへと育てていくことが可能です。

この記事では、ニュースレターの開封率・クリック率といった手元にあるデータを活用し、サポーターの関心を読み解き、情報発信を改善していくための具体的なデータ分析とアクションについて解説します。特別なツールや高度な知識がなくても、普段お使いの配信システムから得られるデータとExcelなどの表計算ソフトがあれば実践できる内容です。

ニュースレターの「開封率」と「クリック率」とは?

まず、基本的な用語を確認しておきましょう。

これらのデータは、多くのメール配信システムで自動的に計測・レポートされる機能が備わっています。まずはご自身の団体が利用しているシステムで、これらのデータが見られるか確認してみてください。

データ収集と基本的な分析

ニュースレターのデータ分析は、まずデータを収集することから始まります。利用している配信システムのレポート機能から、各号の開封率、クリック率(できれば配信数ベースと開封数ベースの両方)、そして可能であれば、どのリンクが何回クリックされたか、といったデータをダウンロードします。

Excelなどの表計算ソフトにデータをまとめ、基本的な分析を始めましょう。

  1. 時系列での推移を見る:
    • 過去数ヶ月、あるいは過去1年分の開封率とクリック率をグラフにしてみましょう。これにより、数値が安定しているのか、それとも特定の時期に大きく変動しているのかが分かります。
    • 変動している場合、その時期にどのような情報を発信したか、どのような社会的な出来事があったかなどを振り返ることで、変動の要因を探ることができます。
  2. 配信内容との関連を見る:
    • 特定の号の開封率やクリック率が他の号と比べて高かったり低かったりした場合、その号の「件名」や「内容」に注目します。
    • 開封率が高い号の件名には、どのようなキーワードや表現が使われていたか?
    • クリック率が高い号には、どのようなテーマの記事や情報が含まれていたか? どのような形式(テキスト、画像、動画など)だったか? 行動喚起(寄付のお願い、イベント参加呼びかけなど)は明確だったか?
    • クリック率が低い号は、リンクが分かりにくかったり、リンク先の情報が魅力的でなかったりした可能性も考えられます。
  3. セグメント別の反応を見る (可能な場合):
    • 配信システムでサポーターを特定の属性(例:寄付回数、参加イベント、居住地域など)でセグメント分けして配信している場合、セグメントごとの開封率やクリック率を比較してみましょう。
    • 特定のセグメントでの反応率が高い/低い場合、そのセグメントのサポーターがどのような情報に関心を持っているか、あるいは持っていないかのヒントになります。

これらの基本的な分析だけでも、漠然とニュースレターを送っているだけでは見えてこなかったサポーターの反応や傾向が見えてきます。

分析結果から読み解くサポーターの関心と改善策

データ分析の結果から得られたインサイトを、具体的な改善アクションに繋げることが最も重要です。

開封率が低い場合

開封してもらえなければ、どんなに良い内容のニュースレターも読まれません。開封率の低さは、メールが「自分ごと」として捉えられていない、あるいは件名に魅力がないサインかもしれません。

開封率は高いがクリック率が低い場合

せっかく開封してくれても、本文中のリンクをクリックしてもらえない場合、コンテンツ内容がサポーターの期待に応えられていない、あるいは行動喚起が分かりにくいなどの問題が考えられます。

特定のリンクへのクリック率が高い場合

特定の記事や情報へのクリック率が高い場合、それはサポーターが強い関心を持っているテーマである可能性が高いです。

継続的なデータ分析とPDCAサイクル

ニュースレターのデータ分析は一度行えば終わりではありません。継続的にデータを収集・分析し、改善策を実行し、その結果を再びデータで検証するというPDCAサイクルを回すことが重要です。

  1. Plan (計画): 次回のニュースレターで試したい改善策(件名の変更、コンテンツ構成の変更、CTAの強化など)を計画します。
  2. Do (実行): 計画に基づき、ニュースレターを作成・配信します。
  3. Check (評価): 配信後の開封率、クリック率、リンク別クリック数などのデータを収集し、計画した改善策の効果を検証します。目標とした数値は達成できたか? どのような結果が得られたか?
  4. Action (改善): 評価結果に基づき、さらに改善すべき点や、次回のニュースレターで試す新しいアイデアを検討します。

このサイクルを繰り返すことで、サポーターにとってより価値のある情報発信となり、結果的にサポーターのエンゲージメントを高め、関係性を深めていくことに繋がります。

まとめ

ニュースレターの開封率やクリック率といったデータは、単なる数字ではありません。それは、ニュースレターを受け取ったサポーター一人ひとりの「関心」や「反応」の積み重ねです。これらのデータを丁寧に分析することで、サポーターがどのような情報に関心を持っているのか、どのようなコミュニケーションを求めているのかといった貴重なインサイトを得ることができます。

手元にあるデータから、まずは基本的な分析を始めてみましょう。時系列での変化、コンテンツとの関連性、そして可能であればセグメント別の反応を見ることで、サポーターの「声なき声」に耳を傾けることができます。その分析結果をもとに、件名や内容、導線といった要素を具体的に改善していくことで、ニュースレターはより効果的なサポーターとのコミュニケーションツールへと進化していきます。

データ分析は難しそう、と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは小さな一歩から始めることが大切です。ニュースレターのデータを活用し、サポーターとの関係性をより豊かに育んでいきましょう。