サポーター活性化ラボ

データで探る、活動の「広報塔」となるサポーター：その行動パターン分析と関係性強化策

Tags: データ分析, サポーター, コミュニティ活性化, 広報, エンゲージメント

日頃の活動、お疲れ様です。「サポーター活性化ラボ」です。

非営利団体の活動において、資金的な支援だけでなく、活動内容を周りの人に積極的に広めてくれるサポーターの存在は非常に貴重です。こうした方々は、いわば団体の「広報塔」として、新たな支援者との出会いや活動の広がりを生み出すきっかけとなります。

しかし、こうした「広報塔」となるサポーターが誰なのか、どのように見つけ、その方々との関係性をさらに深めていくべきか、具体的な手がかりが見つからずにお困りの方もいらっしゃるかもしれません。手元にサポーターのデータはあっても、「どのように活用すれば、活動を広めてくれるような熱心なサポーターを見つけられるのか」と悩むこともあるでしょう。

この記事では、お手元にある様々なデータを活用して、活動の「広報塔」となる可能性のあるサポーターを見つけ出し、その行動パターンを分析し、関係性を強化するための具体的なステップをご紹介します。

なぜ「広報塔」サポーターを見つけることが重要なのでしょうか

「広報塔」サポーターは、単に寄付をしてくださるだけでなく、団体のミッションや活動に深く共感し、自らの意志でその価値を他者に伝えようとする方々です。彼らの発信する情報は、団体自身が発信する情報よりも信頼されやすく、活動の輪を自然な形で広げる力を持っています。

こうしたサポーターの存在をデータに基づいて把握し、彼らの行動特性を理解することで、以下のようなメリットが期待できます。

「広報塔」サポーターはどのようなデータから見つけられるか

「広報塔」サポーターの定義は団体によって様々ですが、ここでは「自発的に団体の情報を周りに共有する、または他者を紹介する行動が見られるサポーター」と定義して考えてみましょう。

こうした行動の直接的なデータを取得することは難しい場合もありますが、お手元にある既存データの中に、そのヒントが隠されていることがあります。例えば、以下のようなデータから推測できる行動パターンに注目します。

  1. Webサイト関連データ:

    • 参照元: Webサイトへのアクセスで、ソーシャルメディアや個人のブログ、知人からの紹介を示すような参照元が多いサポーター。
    • シェアボタンの利用: 記事や活動報告ページなどに設置したシェアボタンのクリック履歴（もし計測していれば）。
    • 特定のコンテンツへの反応: 「友達に教える」といった内容のページや、紹介キャンペーンに関するページを頻繁に閲覧している。

  2. メール・ニュースレター関連データ:

    • 開封・クリック率: 高い開封率やクリック率を示すサポーターは、情報に対する関心が高いことが伺えます。
    • メールの転送: メールが転送されたことを示すデータ（利用しているメールシステムによる）。
    • 返信内容: 質問や意見だけでなく、「この情報を〇〇さんにも送りました」といった内容の返信。

  3. イベント・活動参加履歴:

    • 複数人での参加: サポーターが友人や家族と一緒にイベントに参加している。参加申し込みの際に「ご紹介者」などの項目があれば、そこから紹介者を特定できる可能性があります。
    • 参加後の行動: イベント参加後にSNSで積極的に発信している（手動モニタリングの要素も含む）。

  4. アンケート・ヒアリング結果:

    • 団体を知ったきっかけ: 「友人・知人の紹介」がきっかけで支援を始めた方。
    • 活動の共有に関する質問: 「団体の活動を周りの人に話すことがありますか？」「どのような情報を共有したいですか？」といった質問への回答。
    • 自由記述: 活動への熱い思いや、周りへの推奨に関する記述。

  5. 寄付・会員データ:

    • ご紹介者の有無: 新規サポーターのデータに、ご紹介者として既存サポーターの名前が記載されている。
    • 特定のプロジェクトへの熱意: 特定のプロジェクトに対して継続的に支援するなど、強い関心を示すサポーター。

これらのデータを個別に、あるいは組み合わせて分析することで、「広報塔」となる可能性の高いサポーター候補を見つけ出す糸口とすることができます。

データ分析の具体的なステップ

それでは、手元にあるExcelデータやGoogle Analyticsのようなツールを使って、「広報塔」サポーターを見つけるための具体的な分析ステップを見ていきましょう。

ステップ1：分析の目的と「広報塔」サポーターの定義を決める

まず、「どのようなサポーターを『広報塔』と見なしたいか」を具体的に定義します。例えば：

このように、お手元のデータで追跡可能な行動に基づいて定義することが重要です。

ステップ2：関連するデータを収集・整理する

ステップ1で定めた定義に基づいて、必要なデータを集めます。

これらのデータを一つのシートやデータベースに集約できると、後の分析がしやすくなります。サポーターを一意に特定できるID（会員番号など）をキーとしてデータを紐付けましょう。

ステップ3：定義に基づいて候補者をリストアップする

収集・整理したデータに対して、ステップ1で定めた定義に合致するサポーターを絞り込みます。

このステップで、「広報塔」サポーターの可能性のある方のリストができます。

ステップ4：候補者の行動パターンをさらに分析する

リストアップされたサポーターについて、さらに詳細な行動パターンや属性を分析します。

これらの分析を通じて、「広報塔」サポーター予備軍の方々が、どのようなきっかけで活動を広めてくれるのか、どのような情報を提供すれば響きやすいのかといったヒントが見えてきます。Excelであれば、フィルタリングやピボットテーブルを使って集計すると、傾向を把握しやすくなります。

分析結果に基づく関係性強化策

分析によって「広報塔」サポーター候補とその行動パターンが見えてきたら、次は関係性を強化し、さらに活動を広めてもらうための具体的なアクションを企画・実行します。

  1. 感謝と承認の表明:

    • 彼らの広報・拡散行動（SNSでのシェア、紹介など）をデータで把握できたら、感謝のメッセージを伝える機会を設けます。「〇〇様がご紹介くださった△△様からご支援いただきました。本当にありがとうございます！」といった具体的なフィードバックは、彼らの貢献を認め、モチベーションを高めます。
    • ニュースレターやWebサイトで、サポーターによる活動の広がりについて触れる際、許可を得て事例を紹介することも有効です。

  2. 情報提供の最適化:

    • 分析で見えた彼らの関心が高い分野（特定のプロジェクト、活動テーマなど）に関する情報を、優先的かつ詳細に提供します。
    • 他のサポーターより一足早く情報を提供したり、ブログ記事の作成段階で意見を伺ったりするなど、「インサイダー」的な扱いをすることで、特別な関係性を築くことができます。

  3. 広報活動への協力依頼:

    • 彼らが積極的に活動を広めてくれる傾向がある媒体（SNS、個人のブログなど）に合わせて、情報発信の協力をお願いします。
    • 「もしよろしければ、このイベント情報をぜひ周りの方にもお伝えいただけますか？」といった具体的な依頼は、彼らが行動を起こすきっかけになります。
    • 紹介キャンペーンを実施し、紹介者や被紹介者に特典をつけることも、データ化・計測しやすい広報促進策です。

  4. 交流機会の提供:

    • 他の熱心なサポーターや、活動現場に近い関係者との交流イベントを企画します。共通の熱意を持つ人々が集まることで、新たな繋がりが生まれ、活動へのエンゲージメントがさらに高まる可能性があります。
    • 「広報塔」サポーター同士が情報交換したり、広報のアイデアを出し合ったりできるオンラインコミュニティやミーティングの場を提供するのも良いでしょう。

  5. フィードバックの収集と反映:

    • 彼らの意見やアイデアは、活動内容や情報発信の方法を改善する上で非常に参考になります。定期的なヒアリングや、専用のフィードバック窓口を設けることで、共創の意識を高めることができます。

これらのアクションを実行する際は、サポーターのプライバシーに配慮し、データに基づいて特定の行動を把握していることを不必要に開示したり、サポーターに過度な負担をかけたりしないよう注意が必要です。あくまで、サポーターの自発的な熱意を尊重し、その貢献を後押しするという姿勢が大切です。

まとめ

活動を周りに広めてくれる「広報塔」サポーターは、非営利団体にとってかけがえのない存在です。手元にある様々なデータを丁寧に分析することで、そうしたサポーター候補を見つけ出し、その行動パターンを理解することができます。

データ分析は、単に数字を追うだけでなく、サポーター一人ひとりの活動への想いや行動の背景を理解するためのツールです。ぜひ、お手元のデータを活用して、「広報塔」となるサポーターの皆さんとの関係性を深め、活動の輪をさらに広げていきましょう。

もし、具体的なデータの見方や分析手法についてさらに知りたい点がありましたら、他の記事も参考にしていただけますと幸いです。