サポーターが本当に読みたい記事は?Webサイトのコンテンツ閲覧データ分析で情報発信力を高める
非営利団体にとって、サポーターとの関係性を深める上で「情報発信」は非常に重要な活動の一つです。活動報告、課題提起、共感を呼ぶストーリーなど、様々な形で情報を発信されていることと思います。しかし、「どんな記事や情報が、本当にサポーターに読まれ、関心を持たれているのだろうか?」「せっかく作ったコンテンツが、ちゃんと届いているか分からない」といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
団体のWebサイトに掲載している記事やブログの「閲覧データ」は、こうした疑問に答えるための宝庫です。この記事では、Webサイトのコンテンツ閲覧データを分析することで、サポーターの関心事を読み解き、今後の情報発信やコミュニケーションをより効果的なものにしていくための実践的な方法をご紹介します。
なぜコンテンツ閲覧データを分析する必要があるのか
私たちは日々、活動報告やブログ、イベント告知など、様々な情報をWebサイトに掲載しています。これらの情報がサポーターにどのように受け止められているかを知ることは、サポーターの理解を深め、関係性を強化するために不可欠です。
コンテンツの閲覧データを分析することで、以下のようなことが明らかになります。
- サポーターが関心を持っている活動テーマや社会課題: よく読まれている記事のテーマから、サポーターがどのような事柄に関心が高いのかが分かります。
- 効果的な情報発信の形式やトーン: 長文の記事が良いのか、写真が多い方が良いのか、動画はどうか、といったコンテンツの形式に関するヒントが得られます。
- サポーターの疑問や知りたいこと: 特定のページへのアクセスが多いにも関わらず、滞在時間が短い、または離脱率が高い場合は、サポーターが求めている情報がそこにない可能性を示唆します。
- 新しいコンテンツ企画のヒント: どのような情報へのニーズがあるのかを把握し、今後の記事作成や情報発信の方向性を定めるのに役立ちます。
これらのインサイトは、限られたリソースの中でより効果的な情報発信を行うために、そして何よりも、サポーターとのエンゲージメントを高めるために非常に役立ちます。
どのようなデータを見るべきか
Webサイトのコンテンツ閲覧データを分析する上で、主に参照するのは以下のような指標です。Google Analyticsのような一般的なアクセス解析ツールで確認できるものがほとんどです。
- ページビュー数 (PV数): 特定の記事やページがどれだけ表示されたかを示す基本的な指標です。人気のコンテンツを把握する上で重要です。
- 平均滞在時間: 特定のページをユーザーが平均してどれくらいの時間閲覧していたかを示す指標です。コンテンツへの関心度や熟読されているかどうかの目安になります。
- 直帰率/離脱率:
- 直帰率:そのページだけを見てサイトを離れたセッションの割合です。特定の記事からすぐに他のページを見ずに離脱が多い場合、記事の内容が期待と異なった、あるいは次に進むべき情報がなかったなどの原因が考えられます。
- 離脱率:サイト内の特定のページからサイトを離れたセッションの割合です。記事を読み終わった後、サポーターが次にどのような行動をとっているか(他の記事に進むか、サイトを離れるか)を把握する上で役立ちます。
- 流入経路: ユーザーがどのようにしてその記事ページにたどり着いたか(検索エンジンから、他のWebサイトから、SNSから、メールからなど)を示します。どのチャネルからの読者が多いかを知ることで、プロモーション戦略のヒントになります。
これらの指標を単独で見るだけでなく、組み合わせて分析することが重要です。例えば、PV数は多いが平均滞在時間が短い記事は、タイトルや導入で興味を引くが、本文の内容が期待に応えられていない可能性があります。一方、PV数はそれほど多くなくても、平均滞在時間が長い記事は、特定の層に深く響いているコンテンツと言えます。
具体的な分析手順とアクション
手元にあるアクセス解析データを使って、サポーターの関心事を読み解き、具体的なアクションにつなげるステップを見ていきましょう。
ステップ1:分析対象のコンテンツリストアップ
まずは、分析したいWebサイト上のコンテンツ(記事、ブログ、活動報告など)をリストアップします。特に、「サポーターに読んでほしい」「重要な情報を提供している」といったコンテンツを中心に選ぶと良いでしょう。
ステップ2:アクセスデータの収集
Google Analyticsなどのツールから、リストアップしたコンテンツに関する上記のデータ(PV数、平均滞在時間、直帰率/離脱率、流入経路など)を指定した期間で取得します。例えば、過去3ヶ月、あるいは特定のキャンペーン期間など、目的に合わせて期間を設定してください。これらのデータをスプレッドシート(Excelなど)に整理すると、後からの分析や可視化がしやすくなります。
ステップ3:データを整理・可視化する
収集したデータをスプレッドシートで整理し、必要に応じてグラフなどを使って可視化します。
- PV数ランキング: どの記事が最も読まれているか、ランキング形式で一覧にします。
- 平均滞在時間ランキング: どの記事が最も長く読まれているかを確認します。
- PV数と平均滞在時間の比較: 散布図などを用いて、PV数と平均滞在時間の関係を視覚的に捉えます。「PV数は多いが滞在時間は短い」「PV数は少ないが滞在時間は長い」といった特徴的なコンテンツを見つけやすくなります。
- 流入経路の確認: 各記事への主要な流入経路を確認し、どこからの流入が多いかを把握します。
ステップ4:データを解釈し、インサイトを得る
整理・可視化したデータから、サポーターの関心に関するインサイトを抽出します。
- 「よく読まれている記事」から分かること: これらの記事のテーマ、扱う社会課題、形式(インタビュー、ルポ、解説など)、トーンに共通点はないかを探ります。サポーターが今、最も関心を寄せているトピックが見えてくるはずです。
- 「長く滞在されている記事」から分かること: 内容が深く理解されている、あるいは非常に興味深いと感じられている可能性があります。これらの記事の内容を分析し、どのような情報がサポーターの心に響くのかを考えます。
- 「PVは多いが滞在時間が短い/直帰率が高い記事」から分かること: タイトルや導入で期待させた内容と、本文に乖離がある、あるいは内容が分かりにくい、読みにくい可能性があります。改善のヒントになります。
- 特定の流入元からの反応: 例えば、SNSからの流入が多い記事、メールマガジン経由でよく読まれる記事など、流入経路によってサポーターの反応が異なるかを確認します。
ステップ5:分析結果をアクションにつなげる
得られたインサイトに基づいて、具体的なアクションを計画し、実行します。
- 情報発信のテーマ選定: よく読まれている記事のテーマや、サポーターが関心を持っているトピックを、今後の記事やSNS投稿のテーマとして積極的に取り入れます。
- コンテンツ形式の改善: 長く滞在されるコンテンツの形式を参考に、他のコンテンツでも同様の形式を試します。逆に、滞在時間が短いコンテンツは構成や表現方法の見直しを検討します。
- ターゲティングコミュニケーション: 特定のテーマに関心が高いサポーター層に対し、関連性の高い情報をピンポイントで提供するメールマガジンやSNS投稿を企画します。
- 関連情報の強化: よく読まれている記事に、関連する活動報告、イベント情報、寄付のお願いなどへのリンクを設置・強化し、次のアクションへ誘導します。
- 新しいコンテンツ企画: 分析で見えてきたサポーターの「知りたいこと」やニーズに応える新しいコンテンツ(解説記事、Q&A、インタビューなど)を企画・作成します。
- Webサイト構造の改善: 関連性の高い記事同士を結びつける内部リンクを整備したり、関心が高いテーマのコンテンツを見つけやすいようにサイト構造や導線を改善したりします。
まとめ
Webサイトのコンテンツ閲覧データは、単なる数字の羅列ではなく、サポーターが「何に関心を持ち、何を求めているか」という貴重な声が形になったものです。PV数、平均滞在時間、直帰率といった基本的な指標を丁寧に分析し、そこから得られるインサイトを情報発信の企画や改善に活かすことで、サポーターとの関係性をより強く、より豊かなものにしていくことができます。
まずは、お手元にあるアクセス解析ツールで、最も読まれている記事、最も長く読まれている記事を確認することから始めてみてはいかがでしょうか。そこから見えてくるサポーターの関心に寄り添った情報発信は、きっと今後のコミュニティ活性化につながるはずです。